2021/09/29(記)
今季は白塚漁港南の海岸に3か所の脱出がありました。
①【白塚漁港から800mほど南】
海水を汲み上げるポンプ、1番北の近く
上陸発見 6月23
子ガメ脱出 8月24日の夜から25日の朝
脱出日数 63日
卵の数 130
孵化卵 124
未孵化 6
(未発生4 発生初期 1 不明 1 )
孵化率 95.4% !
非常に孵化率が良かったです!
この産卵巣から 124 匹の子ガメが海へ帰りました🐢
②【白塚漁港すぐ南】
堤防を降りたすぐ近くです
卵の数 90
孵化 23
未孵化 67(未発生 40、発生中期 1、発生後期 6 、虫害 18、不明 2 )
孵化率 25.6%
たった 23 匹しか孵化していませんでした。
同じ白塚漁港南でも、前回の漁港から800mほど南の産卵場所は、孵化率が95.4%でした。
それにくらべると非常に悪い結果です。
孵化率が悪いのは、卵が乾燥していたからだと考えられます。
未孵化卵はどれも殻が凹んでいました。
未孵化卵の殻を破ると、卵黄はどれも乾燥して縮んでいました。
ではなぜ、卵が乾燥するかを考えてみました。
産卵場所を再度掘ってみると、ゴミや石や土の塊やクギ、粘土が出てきました。
白塚漁港の南は、この2年ほどの間に海岸堤防工事を終えた場所です。
たぶん、その工事で様々な物が混じってしまったのだろうと思います。
卵の孵化に必要なものは、温度と湿度と酸素です。
ウミガメの産卵に適した砂浜は、砂の粒子が均一で、波・風による砂の擾乱(じょうらん)が行われる浜が望ましいです。
砂の中に土や粘土があれば擾乱はできず、砂は固まってしまいます。
また砂だけではないので、保水力は場所によって異なります。
そして砂の中の有機物が多い為、虫等がたくさんいたのだと考えられます。
4年前の2017年にこの場所に極めて近い場所で産卵した際は、孵化率 80.7% でした。
海岸堤防工事によって地表から深さ 50 ㎝ぐらいまでの砂の質が変わったことは間違いないです。
それによって砂の擾乱(常に入れ替わること)が減り、卵の孵化に大きな影響を及ぼした可能性があります。
海岸堤防の工事の際には、出来る限り元あった場所へ砂を戻してもらうよう行政側に要望していきます。
産卵巣の中から出てきた、ゴミ、土、粘土、石です。
卵殻を破って中身を確認した未孵化卵です。
卵黄が固まって個体になっています。
実際はこの写真の3倍位以上の数でした。
③【白塚漁港から300mほど南】
カネイシ水産前。
脱出日数 55日
卵の数 136
孵化 131
未孵化 5
孵化率 96.3%
未孵化の卵黄に赤いものがついています。
たぶん赤カビだと思われます。
今年は同じ浜の近くで3か所の産卵がありましたが、場所によって(砂の状態によって)こんなにも違う結果がでるのだということが分かり、大変勉強になりました。
2021/09/09(記)
8月28日、今年初めての孵化率調査を行いました。
【孵化率調査結果】
産卵確認 6月8日
子ガメ脱出 8月13日
脱出日数 66日
卵の数 152個
孵化卵数 122個
未孵化卵数 30個
孵化率 80.3 %
アルビノの個体がありました。
アルビノとは色素が欠損した奇形です。
未孵化の卵の胚で、発生中期の胚です。
今回の産卵場所は、波打ち際から近く、台風が来たら冠水、或いは流失する可能性のある場所でしたが
無事に孵化・脱出を終えました。
長い間見守って下さった会員の皆さん、地域の皆さん、ありがとうございました。
2020/09/21
2020/07/09 に産卵確認した、津市河芸町②(南側)ですが、子ガメ脱出予定日を過ぎても1匹の脱出もありませんでした。
09/21、17時~、三重大学ウミガメ・スナメリ調査保全サークル「かめっぷり」さんらと
孵化率調査を実施しました。
卵室上部 44.1㎝
卵室下部 55.3㎝
卵数 122
孵化卵 0
未孵化卵 122(未発生 122)
孵化率 0 %
脱出率 0 %
●未発生とは、
卵の中で発生がまったく進んでないことです。
暗闇で卵の底面からライトを当てて見ると
発生してるのか否かがわかります。
発生している場合は、血管などが伸びているのがわかります。
今回も島崎町に続き、122個、すべてが未孵化卵(未発生)という結果でした。
本当に残念です。
長い間見守って下さった皆様、ありがとうございました。
ウミガメネットワーク三重 芝山
2020/09/13(日)
2020/08/31日に、子ガメ脱出があった 河芸①(北側)の孵化率調査です。
卵室上部 27㎝
卵室下部 45㎝
卵数 149
孵化卵 94
ピップ死 3
未孵化卵 52(未発生 4 ・発生後期 41・ 不明 7)
未脱出死亡個体 2
孵化率 63.1%
脱出率 61.7%
あいにくの雨の中での調査になりました。
孵化卵の卵殻です。
割れた卵を合わせ、約94個でした
【発生後期】
甲羅もしっかり出来ています。
お腹の前に卵黄がついています。
卵黄は栄養分です。
体の成長と共に小さくなっていきます。
発生後期が 41個もありました。
孵化の前に残念ながら....死んでしまった、ということです。
発生後期で死亡した原因は不明ですが、
孵化に必要なものは『温度・酸素・適度な湿度』です。
そのうちの何かが、8月後半に不足していたのかもしれません。
.....今年は異常気象でしたからね。非常に残念です (T_T)
【未孵化】
未孵化も一個づつ開いて
中を確かめます。
【未脱出個体】
孵化しても砂から出てくる前に死んでしまった個体です。
この2匹は 未脱出死亡個体です。
【ピップ】
ピップとは、卵の殻から体の一部が出ている状態です。
子ガメには、殻を破る角(卵殻)が鼻の先についています。
頭だけ、あるいは頭と前足だけ出した状態で死亡している個体が3体ありました。
雨の中、孵化率調査に参加して下さった皆様、ご苦労様でした。
ウミガメネットワーク会員 芝山
2020/09/13
7/5に産卵確認をしたのですが、残念ながら子ガメの脱出はありませんでした。
約70日後、孵化率調査を実施しました。
卵室上部 39㎝
卵室下部 53.4㎝
卵数 113個
孵化卵 0個
未孵化卵 113個(未発生 113)
孵化率 0%
脱出率 0%
※未発生→卵の中で発生が全く進んでいないこと。
未孵化卵も1個1個開き、中の成長の様子を確かめます。
孵化率調査にご参加いただいた皆様、ご苦労さまでした🐢🐢
ウミガメネットワーク会員 芝山