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2022/09/30 南若松に死亡漂着

2022/10/03  記述

09月30(金)に鈴鹿市南若松シャンティ(カフェレストラン)様より連絡をいただいた漂着死体です。

詳細はカテゴリー『死亡漂着・ストランディング』をご覧ください。

南若松の海岸は狭いのでビニール袋に入れて持ち帰り、10月1日(土)16時から別の場所で、パズルのように組み立てました。

何が漂着したのか、どの部位が残ったのか、何故その部位が残ったのかを調べる為です。


ぐちゃぐちゃの死体のパズルをしました。皮で繋がっている部分が一頭分残っていました。四肢が残っていました。頭部は下顎だけありました。背甲は大きな骨はほとんど残っていました。腹甲も半分ぐらい残っていました。骨盤や肩甲骨等もありました。背甲の中央を縦に繋がる椎骨板や脊椎骨が極めて少ないので、腐敗で背甲中央部が破裂したのではないかと想像します。

下顎です。

頭は流されていて残っていません。

下顎は首の皮で繋がっていました。


穴は排泄腔です。排泄物が出てくる穴。

すぐ上にあるのが「尾」です。

亜成体(子ども)の為、オスであったとしてもまだ小さいです。


足は4本とも皮で繋がっていました。

首の骨、頚椎のあります。頚椎から下顎まで皮と肉で繋がっています。


お腹の中身(内臓等)は、腹膜と腹膜にわずかに付着している腸(腸間膜で繋がっている)や肺等が残っていました。

 

腹膜です。
内臓側です。

 

骨側です

前肢です。

後肢です。

後肢が2本写っているのでこちらも載せておきます。


 

食道です。

 

骨盤と腹甲の骨です。

ミッキーマウスの顔のような形をしたのが

骨盤です。

 

肺だと思われます。

 

白い長い膜は「膀胱」です。

 

水をかけて砂を洗い流しながら

調査しています。

 

「尾」です。

●消化器官は腸が少し残っていたのですが写真に撮っていませんでした💦

<(_ _)>スミマセン...

 

総排泄腔は残っていましたが、

長さは10㎝もありません。

総排泄腔に入れた指が見えていることでわかります。

骨の中に白いものがありました。

この白いものは、骨ほど硬くはありませんでした。軟骨なのかもしれません。
表も裏も穴が開いていました。

このようなぐちゃぐちゃの死体をこれまで調査したことはなく、手探りの状態での調査でした。

しかし、水を流しながら調査したのは正解だったのかもしれません。
そうしなければ「腸」を発見することは不可能だったと思われます。

 


2022/09/20死亡漂着②

2022/09/26記述

2022/09/20、17時頃、鈴鹿市鼓ヶ浦海岸に死亡漂着。

アカウミガメのメスでした。

腐敗もなく原型も奇麗にとどめた新しい死体でした。

古い鱗板が剥がれて新しい鱗板が見えています。

鱗板がこのような剥がれ方をするのは珍しいです。

すべての臓器がきれいに残っていました。

腸から左右に伸びているのは卵管です。

細かい粒々は卵巣です。

 

腸間膜です。

 

尾がそのまま残っていたので付け根から計測。

9cmでした。

下顎は生きている時にケガをしたものと思われます。

傷は完治しているようです。


頭の頭頂部には擦れたような跡があります。
鱗板も薄くなっています。

漁網で擦れてしまったのかもしれません。

甲羅部分に付着しているフジツボは中央よりも後ろの方です。

真ん中辺りから後ろにはたくさんあるのに、上半分は鱗板も剥がれてフジツボもまばらです。

 

鱗板には進行方向に並行にキズがあります。

背甲の除肉をしてから重量を測りました。
背中の甲羅だけでも約7キログラムありました。
まだまだ肉や脂肪が付いているので実際よりは少し重いですが...。

 

背甲と腹甲は砂に埋めて

骨標本にします。


2022/09/20死亡漂着①

2022/09/26記述

2022/09/20、津市町屋海岸にてアオウミガメの死亡漂着

がありました。
捺す雌雄の判別は不明です。


鈴鹿市南若松海岸の漂流死体の解剖

2021/05/12記

2021/04/30日に漂着したウミガメを翌、05/01に、三重大学ウミガメ・スナメリ調査・保全サークル「かめっぷり」さんと共同で解剖しました。
(詳細はカテゴリー「漂流死体」をご覧下さい)


アカウミガメ メス
標準直甲長、897mm

最小直甲長、884mm
直甲幅、699mm

この時期は水温が低いので死体の腐敗のスピードがゆっくりです。

その為、比較的綺麗な状態で漂着していました。


小さい粒状の丸いものが「卵胞」で、膜になっているのが「卵管間膜」です。

消化器官も取り出します。


肝臓、心臓、食道、胃、腸、気管、肺、卵巣、卵管等、様々な臓器を確認できました。

 

後日、消化器官の中身を調査する為に持ち帰り、三重県総合博物館で冷凍保存をしてもらいました。

左右前肢にインコネル(金属のタグ)が付いていました。
過去の捕獲経歴を確認する為に日本ウミガメ協議会へ連絡したところ、

2021/03/19、高知県室戸市の定置網で捕獲されていたことが分かりました。

 

今シーズン産卵の可能性があった個体かと思われます。

本当に残念です。


2020/09/24

 

2020/08/08に、鈴鹿市鼓ヶ浦海岸に生きたまま漂着し、4日後に死亡したアカウミガメの解剖。
死んでから1日以内に冷凍したため、臓器が新しく、非常に勉強になりました。

 

 

 

お腹の中から、
卵胞等、卵になる部分がみつかりました。



2020/09/05
津市河芸町 マリーナ河芸 の北に漂着していた死体。

今までに見たことがないくらい綺麗な死体でした。
死んでからあまり時間が経ってなかったであろうと思われます。

 

指をさしている箇所が

心臓の大動脈。


その横が心臓。


心臓の右手が肝臓。

 

ゴム手袋の下に見えているのが

肺です。

手で持ち上げているのが
肝臓。

 

腸管が生きている時と同じくらい
しっかりと残っています。